ファッション・アート

マザーハウス山口さんの「Third Way(サードウェイ)」出版記念講演レポ!

マザーハウス山口さんの「Third Way(サードウェイ)」出版記念講演レポ!

こんにちは、yumiです。

2019年のマザーハウス・サンクスイベントに参加し、新刊「Third Way(サードウェイ)」出版記念〜山口絵理子が語る、第3の道のつくり方〜の講演を聞いてきました。

「裸でも生きる」から山口さんに興味をもち、今回イベントには初めて参加。ファッションショーも見てからの講演のため、より理解が深まってよかったです。

マザーハウス新ブランドe.(イードット)のファッションショーに行って来たこんにちは、yumiです。 「裸でも生きる」で山口さんを知ってずっとファンだったんですが、今回新刊「サードウェイ」で初めてサンクス...

ハフポスト編集長:竹下さんから見た山口さん

サードウェイの出版元であるハフポスト(ネットメディアで有名ですが、2019年4月から書籍にも参入とのこと)編集長の竹下さんの講演からスタート。

竹下さん、見た目が若い!と思ったらなんとまだ40歳くらい。2016年に編集長に就任したようです。

「一冊の本を作るには、著者に寄り添って考えを引き出し、整理する【壁打ち相手】が必要」

だそうで、竹下さんが山口さんの壁打ち相手となってこの本ができたとのこと。

まずは竹下さんの、メディア人としての問題提起から。この絵👇は、両サイドに立つ人が、同じモノを見て「6だ!」「いや9だ!」と言っている風刺の絵です。

ハフポスト竹下さん 6と9

竹下さん
竹下さん
ネットが悪い方向に行き、分断が進んでいる。
白黒分けたい、という風潮がある。
政治はわかりやすく分断が生まれるところで、特に日韓関係。最近は韓国の編集部との会議でも気まずい空気が流れたりする。

次に例えとして出てきたのがこの絵👇。

ハフポスト竹下さん 白黒

普通に見ると「白↔️黒」ですが、動き回って角度を変えて見ると、

ハフポスト竹下さん 白黒2

こんな風に、カーブしていたり球体だったりすると。

必要なのは、自分の立場に突っ立ってそのままモノを見るのではなく、動き回って、2次元から3次元に見ることだ、というのが私にとっても気づきでした。

竹下さんからみた山口さんは、「矛盾した人」だそうです。

クリエイティブ、だけど合理的。

矛盾を抱え続けているのが山口さんの魅力だ、というところが印象的でした。

確かに、大人になると、子供の頃からもっている「自分はこういう人間だ、これが好きで、これが得意だ」というのに知らず知らずのうちにとらわれていたりしますよね。

それに止まらず、動き回って(山口さんはkeep movingの人だと言ってました)、常に自分を更新し続けることが必要なのかな、と思ったりしました。

山口さんによるThird Way(サードウェイ)に込めた想い

続いては山口さん本人の講演パート。

「裸でも生きる」は日記に近いもので、今回のはどちらかと言うと哲学的な、「周りによく聞かれる、『日々どうやって決断しているか』への答え」をこの本で整理したとのことです。

最初の例が、

  • デザイナー:細かいところにもこだわりたい
  • 経営者:コスト、納期を重視

の対立。自身はデザイナー専業にして、代表取締役は山崎さんに譲りたい!と一時は思っていたそうですが、ある時、この2つの役割を「掛け算」したら楽になったとのこと。

妥協でもなく、「掛け算」するって、山口さん以外の人はなかなか辿りつけなさそうな境地だなぁと思います。

苦労した末に「掛け算」の発想に至るってすごいなぁ、と感動。

次の例が、バングラデシュでのマザーハウス起業に至る経験。

  • 「中国より安く」をスローガンに、人件費を抑制して安く作ろうとする麻の工場
  • 「日本人なら買っていってよ〜」と巾着袋をアピールしてくる、フェアトレードの現場(でも売っているものの品質はいまいち)

これらに触れて、

山口さん
山口さん
だったら、特産の麻で、かわいいモノを作ろう!

という第三の道に至ったとのこと。

凡人にはできない・・けど、動き回って考え続けている山口さんだから、試行錯誤の末に第三の道がパッと見えてくるのかな、と思いました。

そして、巷でもよく言われる「現場」と「経営」のギャップ。

山口さん
山口さん
大事なのは二者択一ではなく、手を動かして頭も使うこと。

現場の工場に行っても、それだけで達成感でいっぱいにならず、帰りの飛行機で頭をフル回転させている。

このような「現場と経営の掛け算」って口で言うほど簡単じゃないよなぁ・・と思いつつ、マザーハウスでは山崎さんという山口さんの右腕(と言っていいのかわからないけど)がいて、うまく掛け算になっているのかなと感じました。

最後に、ハフポストの竹下さんのコメントにもあったように、

「心構えは、立っている反対側を想像すること」

とありました。両方のいい部分をピックアップして、AでもBでもないCを作ること。

出来上がったCがダメでも改善を続けること。

そうやって階段を登っていくと成長できる、との言葉には頷きしかありません。

マザーハウスで働くと、ビジネスマンとして成長できそう、と率直に思いました。山口さんは上司としては厳しそうです。笑。

マザーハウスのスタッフに聞いたThird Way(サードウェイ)

ここは、山口さんに知らされていないサプライズコーナー!

スタッフが、山口さんをサードウェイ的に表現してみるとどうか?というのが次々出てきました。

まずはこちら👇。これを見た山口さんのコメントは、

スタッフのサードウェイ1
山口さん
山口さん
ファッション誌は一流のものだけ見て、自分の感性と掛け算している。

情報が溢れかえっている世の中なので、一次情報しか信じないようにしている。

確かに、情報の取捨選択は大事!私もファッション好きとしては、見るべきメディアは厳選しようと思いました。

次はこちら👇。これに対する山崎さんのコメントと2人のやりとりが面白かったです。

スタッフのサードウェイ2

山崎さん
山崎さん
世の中は山口絵理子を誤解している!想いやパッションの人と思われているが、実はめちゃ合理的で数字を詰める人。

山口さん
山口さん
新しい国を増やすのは絶対のビジョンだけど、やり方は知恵を絞って、数字を追い求めている
山崎さん
山崎さん
大事なのはウォームハート・クールヘッド。ゴールを想いで決めて、道筋は合理的に決める。

世の中、逆の人が多くて、分析でゴールを決めて、そこにたどり着くまでは根性でやっていたりする。これだと続かないので、自分との対話が大事。ゴールを決めるのには時間がかかる。

山口さん
山口さん
2010年、インドネシアのダボス会議で、地場産業のバティックプリントを大統領の前で否定した笑。でもその時はインドネシアに進出はせず、4年後に(周りからは唐突に見えたけど)行くことにした。

学びの多い対話でした。。確かに私も、現実的にできそうか、とか収入でゴールを決めてしまいがちです。そして道筋をあまり考えず根性論になってしまったり。

ウォームハート・クールヘッド、自分の人生においても意識したいと思います。

山口さんと山崎さんの対談

2人の対談で山口さんから出てきたコメントで印象的だったのはこちら。

山口さん
山口さん
(同じジュエリー分野でも)スリランカに対してミャンマーとか、ライバルを作るのが好き。切磋琢磨して成長する。組織マネジメントでも、2人をペアにするなど、ライバルを作ることを意識している

みんなで作るイメージのマザーハウスに対して、敢えて主観で勝負するe.(イードット:山口さんの頭文字)も、そのように切磋琢磨する関係にしているとのこと。

モノづくりはお客さんの声とかいろんなことを考えるものの、ビジョン達成のために敢えて主観で振り切るブランドを作った、というのがすごいと思いました。

「マザーハウス×イードットで世界で戦える」

と言い切っていたのが印象的でした。

質問タイム

続いては会場での質問タイム。印象に残った質問と回答を抜粋します。

Q: なぜパリなのか?

山口さん
山口さん
13年前の起業前のスケッチにも、マザーハウスのバッグを持った女性がパリで歩いている絵を描いていた。モノを売りたいというより、コンセプトをどう思うか聞いてみたい、接客を現地でしたい。

Q: 変化を続けるための原動力は?

山口さん
山口さん
行く場所が変わってから、変化を後から感じるようになった。インドを始めて、アジアを面で見られるようになった。変化するならアクションを止めない。続ける人だけが出会える景色がある。

最後にお二人からの言葉で印象的だったのはこちら。

  • 批判しあって、離れ離れになるのは何の解決にもならない
  • 敢えて違う世界に飛び込んで見る
  • パリへの挑戦を経て、西洋と東洋のサードウェイを今後書いてみたい

私ごとですが、長く勤めた外資系の会社が日系に買収され、カルチャーの違いに戸惑いを感じ、日系の文化を悪く言ったりすることもありました。

まさに、批判しているだけでは何も生まれないので、一つの会社の文化に染まりすぎず、新しいところに飛び込んだりして、自分なりの道を探したいと改めて思いました。

・・以上、山口さんの新刊Third Way(サードウェイ)出版記念講演についてまとめました。本も読んでいましたが、生の声を聞くことでとても学びが多く、感情も動かされ、参加して本当によかったと思っています。